12.2.14

移民たち

先週の土曜日。
はるかくんとAOKIさんのライヴ、(そしてもちろん)まさこちゃんの写真を見にHADEN BOOKSヘ。
冗談みたいな雪の日は、道中も非日常感にあふれ、かけがえのない時間を過ごすことができた。




IMMIGRANTS」。移民。
その表現の通り、震災後岡山に移住した仲間たちを撮ったシリーズ。ではあるんだけど、「移民」という言葉はつくづく私たち人間のことをあらわしているな、と思ったりする。

20121月に、まさこちゃんの展示「新世界」があった。あのときは、まさこちゃんの写真のなかに、なにか絶対的なものを見ていた。なにもかもすべてを愛している、というまさこちゃんの気持ちがばしばしと伝わってきた。写真のなかにあるもの、写真を通して見える向こう側にあるのは、神なのか、愛なのか、真実なのか、その表現は色々だろうけれども、それはつまり光ということなのかな、と当時の私は思った。

今回の「IMMIGRANTS」には、なにもかもすべて愛している、というまさこちゃんのアティテュードはそのままに、もうすこし、やわらかくあたたかい、「絶対的」みたいな表現はあまり似合わないものだなーという印象のなにかがあった。12月に出た写真集を見ても、今回の展示を見ても、自分の内側にじんわりと広がる言葉は「いのち」なんですよね。ひとのぬくもりだったりとか、なんだろう?それこそオージャス感なのかな。この世界って、いのちがつながって、動いているんだなぁ、という感じ。いろんなもののいのちをもらったりあげたりして、動いているんだなぁ、と。

もちろん変化ということは前提にあるとして、そこにその瞬間在るものを「見る」ことに焦点を置いたのが「新世界」ならば、移ろいゆく愛おしさを「見ている」のが「IMMIGRANTS」なのかな、と。だから映像っぽいというか、1枚の写真でもパラパラ漫画を見ているような感覚に陥ることがしばしばありました。
はるかくんとAOKIさんのライヴは2部構成だったんだけど、後半の最初に「IMMIGRANTS」の写真たちをスライドで見るというのがあって。すごく動画的じゃないですか?なんというか。その手法がしっくり来たのでした。
そもそもライヴという「音の移ろい」が、まさこちゃんの写真にぴったりで。はるかくんとAOKIさんとまさこちゃんのセッションという感じだったな(ちなみに、AOKIさんのMCが最高)。

まさこちゃんの写真を見ていると、震災後、私の内側がどのように移ろって来たのかということをついつい考えてしまう。これが善でこれが悪なんだ、善の世界にしていかなくちゃ、そう思っていた以前の私から、(これはかぐや姫のところにも書いたのですが)そもそも善悪ってなんなのか、というところに来ていて。少しずつ、学んで、変化して。否定ではなく、肯定でもなく、もちろん無関心ではなく。そういう道が、あるのだろうか。というところにいる。

スケールの大きなことから小さなことまで(という印象も一見の偏見に過ぎないのかもしれないけれど)色々なことがあるけれども、いのちを輝かせて生き切る、というのはとても素敵で。それは間違いなく、自身がこの世からいなくなった後にも影響していくもので。パートナーがいなくても、子どもがいなくても関係なくて。そういうものは、木とか猫にだって伝わっていくものだから。
だから安心して、多様性を受け入れて、自分の内側にある多様性すらも受け入れて、そのなかで移ろいゆくことを楽しんで、生きていけばいい。
いずれにしても、まさこちゃんの写真からは、いつも生きる勇気というか、パワーというか、原動力のようなものをもらう。愛をふりまくソルジャーまさこちゃんを敬愛してやまない。

と、一周してふと思い出すのは、はるかくんが昔言っていた「大好きなひとと食卓を囲むことが糧になる」といった台詞なのであります。

いつだってこれから。なんだよね。




中川正子写真展『IMMIGRANTS
2014.2.1 2.23

107-0062東京都港区南青山4-25-10
南青山グリーンランドビル

TEL/FAX 03-6418-541012:00 - 21:00 月曜定休



本と珈琲と写真と音楽。って、私が愛してやまないものたち。のはずなんだけど、これらがすべて詰まっている商業的な空間は、なぜかあまり居心地がよくないことが多く。文化度高いんです〜みたいな雰囲気が苦手なのかもしれない。や、私が低いから、ってことだと思いますよ?でもHADEN BOOKSは違うというか、文化度低い私にもやさしい。安心感としてはSO BOOKSに近い、です。
こだわりと押しつけは相反するものになるのかもしれない、と思ってしまう、そんな空間。あと、オージャスが高い空間という感じがする。表参道にある奇跡。でも、表参道だからこそ感じられる奇跡。どうか長く長く、続いてほしいものです。あ、SO BOOKSしかり。flotsam booksしかり。ハイ。
そして正式名称は「音と言葉 ヘイデンブックス」なのだということを今知りました。

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