私は生理痛がたいへん重いほうでして、生理中のみならず生理前も不調になりやすく、精神的なイライラもすごい。音が分解して聞こえたりする。また結構冷えやすいほうでして、それが痛みにも影響しますし、しかも生理と生理の間には排卵痛もある。さらに生理は7日間きっちりある。そして周期は24〜28日っていう、え?もうちょっとゆっくり来てもいいよ?みたいな間隔。よく母親に「あんたは人生の半分生理痛ね」と言われておりました。さらに、女性はストレスで生理が遅れたり、止まったりすることがありますけれども、私は20代のころ、それまで経験したことない激務をうけ、ストレスで生理が1回だけ狂ったことがありました。それが、なんと遅れるのではなくてものすごく早まったんですよね。え?先週も生理だったけどまた来たよ?みたいな感じで。どうせストレスで狂うのならじゃんじゃん遅れてほしいのに(その間生理痛がないから)、私にとってそういった生理不順は夢のまた夢なのだな……とボンヤリ絶望したのを今でも憶えています。こんなこと言っては怒られそうだけど、生理が1年来てない子とかに憧れてましたねあの頃。
で、今年、4月末からモロッコ出張の予定が控えてまして。
長期での旅行や出張などが入るとき、まず懸念するのが生理のスケジュールですよね。被ってしまうと荷物も増えるし行動に色々と制限が出てしまう。それから便秘ね。旅行中は(アーユルヴェーダでいうとヴァータ=風の質が乱れるので)てきめん便秘になりやすいのですが、それと生理が重なるとダブルで身体が重くなる。下腹部に羊羹が詰まったみたいな密度になり、顔には吹き出物、毛穴、くすみのオンパレードと相成るわけです。恐ろしい話です。
ラッキーなことに、今回のモロッコは生理が終わった数日後、の平和なタイミングで始まるスケジュールでした。が、珍しく28日過ぎても生理が来ない。最初は、出張と生理が重なることを危惧してたんですが、自分の心身の状態が生理前と違う。腹痛、イライラ、耳の変化、全体を支配する倦怠感などがなく、通常営業なんですよね。31日目くらいになって、まさかこれは妊娠したか?と検査薬を試してみるも、ドラマのように縦線が入ることはなく、なんかモヤモヤ〜とした表示(※検査薬は、生理開始予定日より一週間後であれば正確にテストできますが、このときはまだ3日後だった)。え〜!はっきりしてくれ!という感じで、旦那さんに「妊娠したかもしれないし、してないかもしれない、とりあえず検査薬は不明瞭で、生理も来なくて落ち着かない」という旨を伝えると「ふ〜ん。どっちかはっきりすれば落ち着くんじゃない?」といった自動販売機のようなレスポンスをいただき、やり場のないモヤモヤを抱えるのでした。
その2日後、金曜日。再度検査薬を使ってみると、うっすら青い線が浮き上がる。即近所のクリニックに電話し、まだ生理開始予定日5日後なんですけど、妊娠してるかわかりますか、と訊くとOKとのこと。2時間待って診察にかかると「あ、妊娠してますね〜」とあっさり。わずか妊娠4週、でありました。
自分が妊娠している。
この事実を受けてまず私の口から出た言葉は「うれしい」でも「どうしよう」でもなく「来週からモロッコ出張10日間、その1週間後にイタリア出張なんですけど行ってもいいですか」だった。先生の答えは「モロッコはいいけど、イタリアはデリケートな時期かつ確実につわりなのでやめてください」だった。「モロッコに行っているあいだも、つわりがはじまるかもしれませんし、出血するかもしれません、流産するかもしれません。でもまぁなんというか、それはよくあることで、お母さんがどんな行動をしようと起こるときには起こってしまうことなので、モロッコは行ってもいいです」と言われたのでした。
そのときは知る由もなかったのだけど、35歳以上で流産してしまう確率って実に20%とされていて、その多くが初期(12週未満)に起こること。で、初期の流産に関しては、卵(赤ちゃん)の生命力の弱さ(染色体異常など)によるものが多くて、重いものを持ったとか、走ったとか、そういう母体の行動は実はあまり関係ない、とも言われています。だから、飛行機乗ろうがラクダ乗ろうが、赤ちゃんが強ければ大丈夫だし弱ければそれまでですからね、と先生は言っていたのだと思う。
しかし、妊婦(そしてつわり)がどんなものかまるで知らない私は「とりあえずモロッコで仕事ができるならよかったです」ということと、なんなら「出張中に生理で辛い思いをすることはないんだ、よかった〜」くらいのことしか考えていなかったのでした。
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そう、私は今38歳。
なんとなく、36歳くらいから「するなら、38には出産したい」とウスボンヤリ思っていて、それを旦那さんにも伝えており、ま、じゃあ結婚しとく?みたいな感じで去年に結婚したのです。
で、2014年。今年の抱負なんて訊かれたときには「子ども産んでみたいですね〜」みたいに答えたりもしていたのですが。が。が。
全然子づくりとか、妊娠するためにはどうすればいいかとか、そういうことを具体的には気にしてなかったんです。排卵日を調べたり、基礎体温つけたりすることもなく。積極的にセックスに励むでもなく(まじで)。もちろん、38歳という年齢が抜群に妊娠しにくい年齢ということも、本当のところはよくわかってなかった。
温度感としても、とにかく子どもが欲しいんですーっ!みたいな感じではなく、「人生において、これからやってみたい未経験の領域って、子育てだよなぁ〜」みたいに、限りなくライトな(あるいは失礼な)感覚でしかものを考えてなかったし、できなかったらできなかったで、子どものいない一生を歩んでも別にいい、とも考えていた。
それなのに妊娠した。
だから「ほー、私には子育てを通してやらなければならない使命のようなものがあるんですね?」と神様宛に確認しつつ、なんというか、嬉しいとか幸せみたいな気持ちはあんまりなかったりして。嫌だとかではないんですけど、うーん、そう来たか……、や、マジで?みたいな感じというか。
なので、高齢で妊娠を希望している人に対して、私はよきアドバイスがまったくできなかったりするのです。そこに関しては何も努力をしていない。長きに渡り辛い思いをしながら赤ちゃんを望んでいる女性がたくさん居るなかで「これが38歳自然妊娠の秘訣ですね」みたいな要素がなにも思い当たらない申し訳なさ。もちろん「自然妊娠、ぜんぜんありえますよ〜!」とも言えるわけがないというか。偶然みたいなもんだから。そしてこの限りない平熱感(ちなみに旦那さんは私よりも更に平熱)。「妊娠してます」と判明したときに、動揺とか驚きはもちろんあるんだけど、じんわりとした感動がこみ上げたとか、お腹のなかにいる小さな生命を愛おしく思ったとか、そういうのがほんとに皆無でして、私は人として、女として大丈夫なのかな?と首をひねりつつ、モロッコのためのパッキングをせっせと行っていたのであります。
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