29.9.14

アルコール&カフェイン問題、私の場合



妊娠してはじめて愕然とします。
世の飲食店がいかに妊婦にやさしくないか、という事実に。

や、接客対応の話とかではなくて、ドリンクメニューの話なんだけど。

妊婦がアルコールNG、というのは広く知られているところであり、また基本飲酒って未成年はダメゼッタイ、なわけで、胎児に影響行きますもんね〜、というのもわかる。
わかるよ?
わかるんだけど。

別に、アルコール飲ませろや!みたいなテンションになるつもりは全然なくて、ただこうなって改めて飲食店に入ると、いままで普通にアルコールしかチョイスしてなかった、という事実に気づくのです。好きな料理やさんも、ワインとか日本酒がおいしくて、お料理とお酒がお互いの存在を引き立て合っていて、それで完璧な体験が実現する、みたいなところばっかりなんですよね。全然自覚なかったけどさぁ。あとたとえばランチでハンバーガーを食べよう、ってなったときとか、ちょっとしたイベントなんかのとき、とりあえずビール頼みますもんね。ハイネケンとエビスで悩むことはあっても、ハーブティーとエビスで悩むことはなかったですもんね。

ドリンクメニューをいただいた際、必然的に目を通さなければならないのが「ソフトドリンク」っていう申し訳なさそうなコーナーね。申し訳なさそうって、完全に私の主観ですけど。
気の利いたところだと、そこにサンペレグリノとかハーブティーなんかも用意されてたりするんですが、ほんとちょっとした居酒屋とかだと「コーラ、オレンジジュース、ウーロン茶」みたいなのが定番だったりします。あ、もちろんそのオレンジ、果汁100%じゃないよね?みたいな。つーかそれが普通だよね、私の居酒屋バイト経験を振り返るに。

つわり中はともかく、つわりが明けてから結構「ご飯食べよう〜」みたいな感じで集合したりするんですけどね。で、出てくる料理を食べるにつけ「お酒飲みたいな」「飲んだらもっと美味しいよな」とか思うんだけど、そこでちょっと旦那さんのやつとかをこっそりひと口拝借しても、もう、全然美味しくない。悲劇的に身体が受け付けないんですよね。しかたなくミネラルウォーターに戻る、みたいな。で、美味しくお酒を飲んでる皆さんを恨めしく見てるんですけど、料理の相棒がお水とかだとね?もう、料理食べるしかないんですよ。だからすぐ食べ終わっちゃうの。料理楽しんで、ワイン楽しんで、余韻を味わって、また料理〜っていうループが成立しなくなるの。料理楽しんで、水楽しんで、余韻を〜ってわけにいかないの。水なんだもん。かといって、これが果汁30%のオレンジジュースになってみて?料理すら楽しめなくなってきますよ。さらに私はつわりが明けても「食べものが美味しすぎて際限なく食べられる!!」みたいな食欲に支配されることがなく、割と少量ですぐお腹いっぱいになるんですけど、だから飲まないぶんガシガシ食べますね!みたいにもなれず、挙句することなくてヒマになるっていう。

っていう!

そんなやり場のない哀しみと怒りがあわさった感情に支配される経験。みなさん(妊婦の)はどう乗り越えてらっしゃるのでしょうか。
や、その場の会話などはおおいに楽しませていただいてますよ?もちろん。だからこれからも誘ってね。

ちなみにアルコールは絶対ダメだと言われてますけど、海外だとそんなこともなかったり。出産のとき「リラックスするためにどうぞ」ってビールをすすめる産院もあるとか?ほんとですかねぇ。
でも、ほんとに受け付けないんだったら、私みたいに飲んでも美味しくない、ってなるのではないかなと思ったりします。ほどほどに気をつけて、あまり神経質にならなくてもいいんじゃないでしょーか派です。
実際、妊娠中2日に1回は飲んでたけどビオワインにとどめてて、結果元気な子を産んでる人もいたり。他の食生活や体内環境も影響してくるでしょうから、なんともいえないですけどねー。でもでも、だってコートニー・ラヴとかケイト・モスが飲酒喫煙一切せずに妊婦生活過ごしたとは思えなくない?みたいな。ネタが90’sですみませんが。

ともあれ、私にとっての救いは、妊娠発覚のちょい前に、誕生日祝いとしてmargoとチニャーレでこころゆくまでおいしいワインをいただいていたこと。あれを反芻するにはもうリピート再生しすぎてカセットテープがすり切れてますが、まぁ最近はノンアルコールの生活にも慣れてきた7ヶ月目、なのであります。


と、ここまで言っておきながら、実はアルコールについては「あったら嬉しいけどなくても死なないもの」と認識していた(意外とつらかったけど)私。ですが、妊娠におけるもうひとつの重大な懸念事項がありました。

それは、カフェイン。

必ず晩酌をするタイプではありませんが、コーヒーがないと死ぬ。1日3杯は飲んでいた私といたしましては、コーヒーのない生活なんて送ることができるのかと。
それはそれは怯えてまして。
妊娠発覚して何よりも先に、デカフェのコーヒー豆(illy)をAmazonにて買ったりしていたのですが。

つわり開始と同時に、見事に飲みたくなくなりました。
むしろコーヒーの匂いが気持ち悪い。
Amazonの箱、いつまでも未開封。みたいな。

つわりのひどい5月〜7月くらいまでは、とにかく美味しかったのが麦茶で、そればかり飲んでましたが、あ、つわり少し軽くなったかな?って頃、突然ファミリーマートのアイスカフェオレを飲んでみたくなって手を出しました。
そうしたら、なにこの美味しい液体!!!みたいな。
それから2週間くらい毎日のように飲んでましたね。今はもう飽きてますけど。はい。

ちなみにカフェインなんですけど、妊婦はあまり摂らないほうがいいようなんですが、アルコールほど厳密ではなく、何を読んでも「1日にコーヒー1〜2杯くらいならいいでしょう」みたいに書いてある。私も最近は普通にコーヒー飲んでるんですが、妊娠前までは絶対にブラック、それも深煎り酸味無しが好きだったのが、今はカフェオレとかカフェラテを積極的に頼むようになってます。デカフェは気が向いたらって感じであまり気にしていません。ただ、1日2杯までと決めてはいます。
一説には、カフェインは特に妊娠初期にあまりよくないようで、その頃飲んでなかったし、まぁいいかな〜と。

ちなみにデカフェだけど、カフェイン完全ゼロではないらしいよ〜、とか言いはじめるとキリがないのでヤメ。


で、さっきのドリンクメニューの話に戻りますけどね。
「コーヒー、紅茶、ウーロン茶、緑茶、コーラ、オレンジジュース」みたいな選択肢のソフトドリンクメニュー。よくありますよね。

なんですけど、このなかで、カフェイン入ってないのオレンジジュースだけだから。
知らなかったですよ妊娠するまで。
カフェイン=コーヒーと思われがちですが(少なくとも私は思ってました)、紅茶、緑茶、コーラ、ココア、ほうじ茶、烏龍茶、玄米茶、マテ茶、みんな入ってるから!

麦茶、そば茶、黒豆茶、ルイボスティー、いくつかのハーブティー、爽健美茶や十六茶なんかは入ってないです。詳しくはこのあたりを。


昨日もこの話になったのですが、もっと色々な人に選択肢のあるメニューが広がればいいのにねと、この立場に立って初めてそんなことを思ったりします。
妊婦だけでなく、アレルギーなどの体質的な問題とか、ヴィーガンなど主義的な問題とか。そういうのを持っている人にもストレスなく選んでもらえるようなメニュー構成。
私は20年くらい前にインドに行ったとき、ファーストフードに「ベジ」「ノンベジ」メニューがあることにびっくりしました。ベジバーガーはグルテンミートとかだったのかな、今思うと。それが「ノンベジもありまっせ」的な出しかたではなくて、ベジとノンベジがイーヴンだったんですよね。あなたはどっち?的な。
それから、アメリカなんかのコーヒー店だと、すべての豆にデカフェも用意されてるとか(日本はあっても1種類だし、スタバやタリーズなどにとどまっている印象)。あと、先日妊娠発覚後にモロッコに行った際には、ノンアルコールのモヒートをよく飲んでました。ちゃんとフレッシュミントとライムが絞られてて、モヒートと比べて遜色ない味(と見た目)。こういうものが、もっと市場にあったらいいのになと思います。

が、そこには宗教的な背景が大きく関わってるんだろうなというのもわかっていて。ムスリムはアルコール厳禁だし、多様な民族が集まるアメリカでは、主義主張も様々で必然と選択肢を用意する必要があるだろうし。
日本って、無宗教というか、みんなが同じであることをよしとする風潮が根強くて、善悪とか、マジョリティ/マイノリティみたいなものでジャッジしがちというか。多様性を認めないし優劣をつけたがる。そういう背景がもたらすドリンクメニューへの影響って(や、ドリンクメニューだけではないのだけど)大きいんだろうなと。

そろそろ。変わってもいいんじゃない?と思ったりして。ビジネスチャンスここにあり的な。


ちなみに我が家の妖精ことうちの旦那さんですが、基本アルコールもコーヒーも全然飲まないため、むしろ買い置いていたビールなどがまったく減らず、近隣の友人に配った思い出。コーラは好きみたいでたまに飲んでますが(500mlで120円のもののみ認めてる様子)、今日はビール飲みたいなあ!みたいにならないのすごい不思議。それどころか、今日はこれ食べたいなあ!もあまりないご様子。出されたものを美味しくいただく系。基本感情の起伏を全然表に出さないのですが、観察してると、テンション上がってるのはジャンプの発売日、イラついてるのは空腹時、くらいのような。ザッツ原始的のびのび生命体。みたいな。毎日ごはんを作ってくれて本当にありがとうございます。

23.9.14

出産方法、私の場合




つわり処女の私は、日に日に悪化していく自分の状態に恐怖心しか抱けないまま、モロッコより帰国の翌日、5月10日。クリニックへ行ったのですが。
またこのクリニックが基本予約制じゃないため、人が殺到してもんのすごい待つんですね。3時間とか当たり前で、5時間くらい待つことも。それで診療が5分もかからないんだから、参ってしまいます。

病院の待ち合い時間って、私は本来あんまり嫌いじゃなくて。ぼーっと本読んだり、なんか飲んだり、なんか書いたりして快適に過ごすほうなのですが、今回ばかりは。
読めない、飲めない、書けない。なんもできない。
しかも、待合室は女性だらけで、もう香水やらシャンプーやらのにおいが充満してる。
めまい、立ちくらみ、吐き気の協奏曲が鳴り止まないなかでの数時間って地獄でしかなくて。朦朧としながら、向かいに座ってる臨月くらいの女性のお腹が、内側からボコッ!ボコッ!って激しく盛り上がってる(赤ちゃんが蹴っているため)のを「これはこの世の出来事なの…?」みたいな感じで見ていました。妊婦コワイ。

ここの先生(女性)はほんとにきゅうりの浅漬けみたいにあっさりしていて、かつ竹を割ったようにスパーンと話す。終始笑顔で、余計なことをまったく言わない。この日も、内診をささっとすませたら「はい、心拍確認できました。じゃ、母子手帳をもらってきてください。それからこのクリニック、検診はできますが出産はできませんから次回の診療までに産む場所を決めてきてくださいね。紹介状を書きますので」と、まるでそうめんをつるつるとすするような滑り具合で一気に話してきた。けど、今の台詞のなかに結構いくつか重要な単語含まれてないですか?っていう。

つたない私の脳内で復習すると、以下のようなことなのだった。

A: 心拍が確認できた=赤ちゃんは生きてる。(まぁこれだけつわってるんだからそりゃそうでしょうね)

B: 母子手帳をもらう必要がある。(フムフム。そんなものがあるのか。役所などでもらうのかしら?)

C: 産む病院を次回までに決めてこい。(ええーーっ!もう決めないといけないの?)

(この間3秒)


「じゃ、次回また来てくださいね〜」とクロージング体勢に入ろうとする先生をむんずと掴み「あの、産む病院ってもう決めなければならないんですか?どうやって決めたらいいのでしょうか?おすすめとかありますか?」と居酒屋の最初の注文みたいな質問をしてしまった。

すると先生曰く「おすすめというのは特にありません。里帰り出産なのか自宅のそばで産むのかにもよりますし、出産方法で選ぶ、予算で選ぶなど色々ありますよね。ネットで調べれば情報が出てきますよ。ちなみに三宿の自衛隊病院は料金が安いので大変人気があります。あなたの場合12月末が出産予定だから今連絡しても予約とれるかどうかギリギリってところかな〜」とのこと。優しいのか冷たいのかよくわからないアドバイスを受け、なんとなく打ちひしがれて帰路につきました。


さて、2週間後の検診までに出産する病院を決めなければいけない。
これって、結構なプレッシャーです。昨日モロッコから帰ってきたばかりだよ?
さらに、当時の私はモニタを見ると数分で吐き気を催すため、ネットで調べるということが限りなく億劫なのであり、また、いちばんの問題は、

こういう出産方法にこだわりたい!とか、この病院で産みたい!みたいなのが皆無なのです。

というか、どんな出産方法/病院があるかという知識がそもそもゼロに等しい。つくづく私は妊娠・出産ということについてまったくもって具体的なヴィジョンを持っていなかったんだなとしみじみするのでした。やや、大変な世界に足を踏み入れましたぞ?みたいな。
唯一はっきりしていたのは、実家で産むというイメージはまったくないということ。自宅付近で探そうというところまでは決まった。さあ、インターネットのお世話になりますよ。

程なくして、私は「無痛分娩しかない」と思うようになっていました。というのが、しつこいようなんだけど、そのとき壮絶なつわりだったんですよね。しかも「これからどんどん酷くなる」ということへの恐怖感。それから「仕事に支障が出る」ことへの恐怖感。これらに苛まれながらの検索だったため、妊娠・出産を楽しむみたいな、どれだけ知らない世界か見てやろうじゃないの、みたいなチャレンジ精神?好奇心っていうんですかね?そういうの皆無。余裕ゼロ。女性に産まれたからには云々、お腹を傷めてこその云々、生命の神秘を云々、みたいなの全然響かなくて。笑っちゃいますよねー。ハハハ。

いや、だってネットを見れば見るほど、38歳での出産ってほんとに大変で、体力も取られるし復帰にありえないほど時間がかかる、っていうか言っとくけどマジで38って超高齢出産だからね?産むことじたいが割と不自然なことと自覚してくださいね?みたいなのしか出てこなくて、もう半泣きですよ。40代でも出産は全然いけると思っていた(というか、20149月の今現在も思っています)のに、ネット社会の容赦なさ。今思えば、たまたまそういうサイトに当たってただけなのかもしれないけど。

そう、7ヶ月を迎えてつわりも終了している今となっては。当時より少しだけ精神的にも余裕があって、自然分娩のすばらしさとか、アーユルヴェーダの考えをベースにした産院とか、そういうものにキラキラと目を向けられるようになったけど。当時はもう、とにかくしんどい、楽になりたいが先にたっていて、少しくらいお金がかかろうといい、快適なお産を望みます!って感じで。何が快適かというのはまた難しい問題なのだけども、そこまでは考えられなかったですね余裕なくて。

つーか、私にMの気はないと思った。今回のことを通して。SかどうかはわからないがMでは絶対にない。どうでもいいですね。

で、無痛分娩を行っている病院って決して多くはなくて、そのうちでいちばん通いやすいところをチェック。サイトもなかなかちゃんとしていて、分娩予約状況なんて気軽に見てみたら、もう12月上旬まで埋まっているではないですか!は、はええ。脊髄反射で速攻電話して12月下旬のほうの予約をとり(これもあと2名とかだった)、あっさり出産する病院が決まってしまった。「次回から検診はうちで行ってくださいね」とのことで、竹を割ったような先生とはあと1回、紹介状を書いてもらったらお別れ。でも、出産する病院で定期検診というのはやっぱり安心だよね。


出産方法について。
いろんな意見がありますが、主には自然分娩和痛分娩無痛分娩帝王切開4種類なのかな。
で、自然分娩にはそれはそれは色々なスタイルがある。水中出産や、フリースタイル出産(自由な体勢で出産する)などなど。今思えば(今思ってばっかりだけど)、ナチュラルでスピリチュアルな方法を選びたい気持ちもゼロではないんですが、私は100%そちらの人間ではないという自覚もあって。

例えばコスメの話。
私はオーガニックコスメが大好きです。でも、例えばTOM FORDの口紅大好きだし、CHANELNARSのカラークリエイションには感動しかない。今後のDiorにも超期待してる。メイベリンのマスカラやアイライナーをこよなく愛してるし、アルビオンの乳液&スキコン信者だし、っていう。
オーガニック大好きな人のなかには、ケミカルは一切NO!って人もいて。それはそれで全然否定しない。けど、私はすべてを理解したうえでどっちも愛してる人になりたい。というのがあります。

そういう自分を好きになりたいから。なのだと思う。
結局はエゴイストなのだと思う。

一見相反するもの、メジャーとインディーズとか、ナチュラルとケミカルとか、文系と理系とか、そのどっちかに100%行けない。特定のものに傾倒できない。相反するものの良さも見えてしまうし、どっちも好きじゃだめなの?って思ってしまう、だからこそ「かぐや姫」の感想がこうなってしまうのですが。

そういう自分に悩んだ時期もあったけど、今はこれでいいと思えるようになった(高齢出産のいいところは、精神的な余裕だとなにかに書いてあって、それは一理あるなと思います。もちろん自分比だけど)。
大切なのは、その人にとって何が心地よいのか、なのではないかと思う。衣食住、どんなことであっても。振り返り、見直して、丁寧にチューニングしながら軸を育てていく、そういう生きかたがいいなと思います。

って、話が逸れましたが、私は、つわりでしんどかったあのときの自分をいたわる意味でも、そして合理的な21世紀に生きる38歳の、ひとりの弱い女性として、今も無痛分娩を選んでいる、ということでした。


ちなみに母子手帳の話。
母子手帳は市町村の役場(出張所などでも)で交付してもらえます。「心拍が確認できたらもらうもの」という説があるようですが、妊娠が発覚した時点でもらえるみたいです。母子手帳をもらうのは早いに越したことはありません!なぜなら、診療代がディスカウントされる妊婦健康診査受診票が一緒にもらえるからです。病院によると思いますが、私の場合、初期の診療代はディスカウントなしだと1回につき6,0009,000円(血液検査などはなし)かかりました。結構高いんですよね。

ただ、あまり早く母子手帳をもらうと、流産したときに見るのが辛いといったお話もあるとか……。そういう意味で「心拍が確認できたら」ということになっているのかもしれません。



あ、えーと、今回は、旦那さんのエピソードは特になしで。


知らんうちに撮られてたのですが先月出産に備え髪を切りました。

13.9.14

妊娠中は平和的な気持ちであることが大切か、私の場合

妊娠時は妊婦のストレスがいちばん胎児に悪い、平和的なものを見て、やさしい気持ちになりましょう、そういう説はよくありまして、またそれは真実に違いないだろうなと思うのですが。

私は特につわり中、結構、残酷なものを定期的に見たくなったりしていました。

まず、サイコパスや大量殺人、未解決事件の類。実際に起きた過去の事件のアーカイブなどがまとまっているサイトを熟読していましたね。なんでなのか自分でも理解に苦しむのですが、見ているとストレスが解消される、とかなんか安らぐんだよね、とかいうことではもちろんなくて、たぶん、想像の範疇を超えた道徳観や倫理観がそこに繰り広げられていて、怖すぎて、その衝撃をうけることでつわりの辛さを紛らわしてた……ん……ですかね?と書くと我ながら不気味なんだけど。脳がきゅーっと萎縮するような恐怖に襲われながらも、特にフォーカスしてしまうのは、実行犯の深層心理。付属池田小事件、女子高生コンクリート詰め殺人事件、北九州監禁殺人事件とか。あと神隠し事件関係もよく読んでいました。これは犯人いないんだけど。

それから、活字をあまり読めないため(って上記と矛盾がありますが)、漫画をよく読んでいて、そこでもホンワカしたものより、緊張感のあるものを好んで読んでいた気がします。非常にハマったものが2つあって、『進撃の巨人』『僕だけがいない街』。いずれも、伏線が巧みで心理描写や人物・状況・時系列の設定が細かく、何度も何度も繰り返し読みました。


『進撃の巨人』諫山 創


『進撃の巨人』についてはもともと旦那さんが持っていて、私は絵が全く好みでなく、まぁ読むことはなさそーだなと思っていました。しかも一度通して読んだときは正直「これの何が面白いの?」と思ったのですが、何度も読むうちにどんどんハマりまくって、しまいにはガイド本やスピンオフを買い、毎日サイト「進撃の巨人ちゃんねる」をチェックし、旦那さんにひかれるまでに。や、マジでおもしろいですよ?あれは。ファンタジーなんだけど、現実世界に通ずるものがあるというか。あとキャラ設定がすごいシュールなんですよ。ちなみに特に誰のファンとかはないんですけども。
そこまでハマるともうAKBみたいに「進撃の巨人ビジネス」が気になっちゃって。色々な食品メーカー・雑貨メーカー、コンビニが進撃の巨人とコラボしている様を観察したり。あと実写映画化の話もちょうど発表されて、それもキャストだけ発表して配役については伏せておくとかっていう手法に感心したり。ファンが熱いのもAKBと似ていて、同人誌の類いとかね。自作4コマがすごいRTされてたりとか。日本人の応用力、模倣力に改めて感心したりとか。

あれ、なんか進撃について長くなってしまった。


『僕だけがいない街』三部けい


『僕だけがいない街』は、漫画家志望の青年が幼少期にタイムスリップしては現代に戻り、過去の事件を解決しようとする『プロポーズ大作戦』や『王家の紋章』のサスペンス版みたいなストーリーなのですが、ほんと読ませる、目が離せないお話です。ちなみに未完です。

逆に平和的なーー赤ちゃんはお母さん(とお父さん)を選んで生まれてきますみたいな本とか、ラブストーリー漫画とか、トライしてはみるんだけど全然進まない。リアリティを感じないというか。なんでなのかな〜。もっと妊婦って、平和でホワホワしてて、赤ちゃんを愛おしいと思ったり、幸せの象徴みたいな気持ちになったりするもんなんでないの?と当時は自分に対して懐疑的になってましたね。でも、ハッピーエンドにも懐疑的、みたいな。


あと、別にほっこり系ではないですけど、つわり中に『アナと雪の女王』を観たんですよ。これがストーリー全然面白くなくてですね、映像技術とか歌、長女・次女の描き分けはすごいなと思ったんですが、結局父親の教育方針に問題ありじゃね?みたいな感想しか抱けず。あれはなんだったんすか。みんな、どこに感動してるんすか。曲ですか。
ちなみに旦那さんはアナ雪について「突然歌いだすとか日常生活ではありえないでしょ?あの展開になじめない」って言ってましたが、もしかしてヒップホップが好きすぎる人生のあまりにミュージカルの存在を知らないのかな?突然ラップしはじめることも日常生活ではあまりないよ?

ちなみに『her』と『グランド・ブタペスト・ホテル』も観ました。『グランド・ブタペスト・ホテル』は文句なしに面白かった!でもって、『her』については展開になるほどね〜って思いつつ(相手がAIだとこういう展開になるのか、的な)、正直90’sの空気を感じすぎて(ナードな雰囲気含め)、全然未来の話と思えなかった。私はスパイク大好きなので超ラブ!みたいなコメントしたいんですけどね〜ほんとは。しかしスカヨハは適役すぎて、最後のクレジットで知ったため、そこ(キャスティング)に一番感動しました。


って話がそれまくってますけど、結局思うんです。いちばんよくないのは我慢することだと。
残酷なものに惹かれる(というか引きつけられる)自分を否定しない。んで責めない。禁じない。ジャッジしない。成すがままにしておく。ことが大事なのかなと。←ジャッジしてるじゃん。

よしもとばななさんの言葉を借りると「いろいろ考えるとどういう生活スタイルをとるかじゃなくて、体、遺伝子に逆らわないということなのかなと思うんです」(三砂ちづるさんとの対談本『女子の遺伝子』より)ってことなのかなと。

そして私は職場や旦那さんなど環境的にとても恵まれていまして、日常生活における、言いたいことも言えないこんな世の中じゃ〜的なストレスがほとんどなかったからこそ、そーいった残酷なことにのびのび没頭できたのかな?と。没頭って大げさですけど。

あと、今思えばこういう志向って子どもの性別にちょっと関係してるのでしょーか。という話なんですが、この件はまたいつか。

12.9.14

つわりについての追記《つわりは病気か?問題》





《つわりは病気か?問題》

つくづく思うのは、人は経験したことをもとにしか想像できないということなんです。

先日、つわりについてのブログを書かせていただきましたが、それを読んだ旦那さんから「なんかさぁ……、つわり、大変だったんだね……」ってなコメントをいただき。
いや、毎日接してたじゃん?ていうかむしろすごい協力的だったよね?(←今もです)って感じだったのですが、言われてみれば、つわり当時は自分の状況をいくら「常に車酔いみたいな感じ」と説明させていただいても「車酔いしたことないからちょっとイメージできない」とキッパリお答えいただいてましたね。

うん。

しかしこれがうちの旦那さんのすごいところで「イメージできない」=「納得できない」にはならないというか、想像力とは別のセンサー的な何かが折り合いをつけるのか知らないんですが、トドのように寝てる私に対して「少しは働けよ」とか言わないし、「あれ食べたい」「これ作って」と言えば買いに走ったり作ったりしてくれるし、精神的にすごく助かりました。

し、それ以外でもあんまり嫌な思いはしてないというか。電車で攻撃されるとか、仕事で嫌味言われるとか。

でも結構、あるみたいなんですよね。世の中には。
ネットを見てると(特に知恵袋、発言小町系)露見も激しく。まぁそういうサイトはネタもあるかもなんだけど、実際の経験としても聞いたりします。

・「嫁がつわりを理由に家事をしない。職場には妊娠中でも仕事を頑張っている女性がいるので、明らかに嫁の態度は怠慢。なんとかならないのか」とかいうサラリーマン男性。
・「妊婦は電車なんか乗らないでタクれよ(=邪魔なんだよ)」と本人に聞こえるようにつぶやくサラリーマン男性。
・早退や遅刻などに対し「妊婦は病気じゃないだろ!」と罵倒する上司。
・優先席に座っている妊婦に「病気でもあるまいし!」と罵声を浴びせるおばさん。

とかとか。
えーと一人おばさんが混じってるのがよくわからないんですが、この人はつわりのご経験がなかったのかしら。ラッキーですね、あなた。

で、特に聞くのは「病気じゃない」ってフレーズなんですけど、うん。理屈では病気じゃないですよ?でも、具合は悪いんですよね。病気じゃない=健康、ではないんですよ決して。
たとえば、ものすごく辛い二日酔い。あれ、病気じゃないですよね。でも起き上がれない、何も食べられない、休みたい。目眩がする、吐き気がする。あんな感じですよ。しかもものすごく辛い二日酔いなんて1日で終わるけど、つわりはそれがずっと続くんですよ?それがデフォルトですよ?って言いたい。あと、もちろんつわりには個人差があるので、元気な人を基準にされても……、ってのはありますよね。
もちろん妊婦側も「席はゆずってもらって当然」「会社では優遇してもらって当然」みたいな態度はよくない。「ありがとうございます」「ご迷惑おかけします」は大前提だけれども。

でも、そういう仕打ち(罵倒など)を受けちゃう妊婦側としては「同じ状況になってみやがれ」ってどこかで思ってしまうんではないかなと。でも、それは難しいので、せめてわかってもらうための努力ってのは必要なのかなと思います。よく、生理痛の辛さは男にはわからない、みたいな話ありますけど、経験したことないんだから、共通の言語を使って連想してもらうしかないですよね。よくある出産のたとえとして「鼻からスイカ」みたいな説明あるけど、そんな経験ある人は誰もいないのに、とてつもなく痛そうっていう想像はできるじゃないですか。そういう、イメージできる痛さとか辛さをサンプルとして挙げてみるとか。

100%はもちろんわかり合えなくても、わかってもらうためのアプローチというのは大切で、それはお互い様だったりする。

ただつわりのときは言語能力とかも相当、通常の7割減くらいになりますので、私も今だからこういうウザイ文を書いていますけど、つわり当時は謎のダイイングメッセージみたいなメモしか残せなかったですからね。難しい部分もあるのですが。

そもそも自分が完全に満たされてる人っていうのは、ほかの人のことを妬んだり悪く言ったりしないですよね。罵倒を浴びせるみたいな行為って、対象やその内容がなんであっても、少なからずそういうことだったりするのではないでしょうか。私は、片方が100%悪いってことはないと思うので。どんな関係・状況であっても。

思いやりあって生きるというのは素敵なことですよね。


8.9.14

つわり、私の場合




この朦朧とした状態が、永遠に続くような気がする。
つわりの時期、私の精神状態は最悪でした。世界がグレーがかった白で、どんよりと重く、昨日と今日と明日の区別がつかず、終わらない迷路を彷徨っているようでした。

つわりという名の異邦人は、モロッコ滞在中、あと3日で帰国というとき(5月7日、6週2日目)に突然やってきました。それまで呆れるほど元気だった私が、商談中、いきなり車酔い状態に陥ったのです。
幸い、出張同行のかたが良くしてくれ、その日はホテルで休ませてもらえたのですが、ルームサービスで頼んだサンドイッチが、チーズやマヨネーズ、ツナのにおいで吐きそうになり食べられず!こ…これが世に言うつわりというものか……、と愕然としたのを憶えています。翌日は言うほど酷い状態ではなく食欲もありましたが、帰国の日が最悪。気温の変化による風邪や滞在時の疲れがたまっているのもあったのか、飛行機のなかは地獄の一言でした。吐き気、眠気(でも寝れない)、寒気の3種が常に鎮座DOPENESS状態。お酒が大丈夫ならワイン1本飲んで寝てしまえるのですが、そうもいかないわけです。


つわりの症状は本当に妊婦によって異なるようで、よく以下のように分類されます。

A/ とにかく気持ちが悪く、何を食べても吐いてしまう「吐きづわり」
B/ 空腹になると吐き気がやってくるので常に何かを食べていないとならない「食べづわり」
C/ 寝ても寝ても眠くて、突然生活に支障が出るレベルの強烈な眠気が襲う「眠りづわり」
D/ 唾液が後から後から出てきて飲み込めない「よだれづわり」

…なんだけど、Aの範疇がそりゃもう広いんだな。吐かないまでも常に吐き気がつきまとうケースもあるし、何が吐き気を誘発するかもほんとに人それぞれ。よくある「グレープフルーツだけ食べられました」「つわりの時期、一生ぶんのとろろそばを食べた気がする」など、特定の食べものしか受け付けないケースも、「それがおいしくてしかたがない」というよりは、「それだけならかろうじて食べられる(=他のものは気持ちが悪くて食べられない)」ということであって、決して、ある日突然偏食家になっちゃった!みたいな愉快な状況ではないのであります。

稀に「私、全然つわりなかったんですよね〜」と仰るかたもいます。ね。いるみたいです、つわりのない人。いいよね〜。ラッキーだよね〜。ほんとに羨ましい、素晴らしいことだと思うんですが、私なりに考えると、つわりのない、ないし少ない人っていうのは性格もおおらかで体力がある人(アーユルヴェーダで言うところの、カパがメインでピッタもちょっとある感じ、で、乱れてない人、で、オージャスがちゃんとある人)に多いような気がしています。でも、そういう人なら必ずならないかっていうとそうじゃないんだな。健康でオージャスたっぷりの人で、つわりがある人ももちろんいるんですよねぇ。読めませんよねぇぇええ。つわりのヤツ。おそろしいですよねぇぇぇぇえええ。

が。つわりのいちばんの怖さは。
吐き気などの症状そのものではなく、いつまで続くかわからないところにあると思う。
また、特に初期に関しては「この状態がこれからどれだけ悪化するのか?」という気持ちを常に抱えなければならないところにあると思う。のです。

この「わからない状態」っていうのは本当に恐怖。

そう。症状も妊婦によるなら、期間も酷さも妊婦によるんです。
だから、ネットでいくら調べても、それが自分に当てはまるわけではない。これが空しいことでもあり、でも妊婦によってバリエーションが多様すぎるため色々な声がネット上にはあり、この人なら私に近いかもしれない、とかいちいち当てはめて、結果、検索がやめられないというラビリンスにはまる要因でもあったりする。


私の場合は、AとBとCが合わさったタイプのつわりでした。
まず、常に車酔い状態。空腹でも満腹でも吐き気。なので、その中間をキープするため、ちょっとでも空腹を感じたら少しだけ食べる。食べものをおいしいと思うことは基本的になく(これ、マジでかなしいことです)、吐き気を少しでも軽減させるために食べているという感じでした。
また、食べられるものが限られる、かつ流動的なので買い置きができない。たとえば、グレープフルーツゼリーなら食べられる、という状態が3日くらいしか持たない。ある瞬間に突然、それまで食べていたものが食べものに見えなくなる。というか見るのも嫌になるんですよね。

さらに、私を苦しめたのは世の中のあらゆるにおいでした。
10m先を歩く女性の香水の香りでどうしようもなく気分が悪くなる。シャンプーのにおい、洗剤・柔軟剤のにおい、スキンケア製品のにおい、ディフューザーのにおい、タバコのにおい、革のにおい、料理のにおい……世の中にはなんてたくさんのにおいがあるのだろう、と感心してしまうほどあらゆるにおいで気分が悪くなりました。当然自分が使っていた香水も使えず、残り香のあるものも身につけられない。かといって精油の香りなら大丈夫というわけでもなく、カモミールなんかはかなり厳しかったです。

モニタも見れない。10分くらい見てるともう気分が悪くなります。だから仕事が全然前に進まない。TwitterとかFACEBOOKも見れず、もちろんツイートなんてできない。何も浮かばない、それどころじゃないって感じで。
読書とか音楽聴くこともできない。とにかく頭が使えない。何も考えないで観れるドラマとか漫画がかろうじて友人になってくれます。

吐き気はあれど実際リバースすることはなく、「常に吐いてた」「一日中トイレから出られなかった」みたいな人に比べるとずいぶん楽だったのかなと思いますが、自分比では最悪なので本人的にはツライ。プラス冒頭のポエムみたいな精神的落ち込みね。生きている価値なんてないのでは?みたいな。妊婦=幸せみたいなイメージはどこぞの発祥なの?みたいな。そんなのが結局3ヶ月はフルスロットルで続きましたね。

とにかく私は仕事に支障が出ることが怖くて(フリーランスの弱さよ)、少しでもつわりをよくするためならなんでもします!という姿勢だった。「吐き続けていたけど、これを飲んだら普通に生活が送れるようになったよ」という話を聞けば、1日あたり1,200円を越える漢方も続けました。一ヶ月3万越え。しかも煮出すのに30分×毎朝という苦行。部屋中に充満する漢方のにおいに慣れることはついぞ卒業するその日までなく、旦那さんにも悪いことしたなと思っております。
結局その漢方が効いていたのかは不明なんだけど、やめるともっと症状が酷くなるのではないかという恐怖からやめることができないんですな。多種のサプリメントに依存する美魔女のかたや、なんとかドラッグに苦しむ人の気持ちがよくわかったし、人間の心ってほんと弱くて脆いなとしみじみしてしまうのでした。


一歩でも外に出るときは、においを遮断するためのマスクがないと耐えられず、満員電車や人ごみに怯え、立っていられない日々。マタニティマークを見て席をゆずってくれる人も居て、それはほんとに涙が出るほどうれしかった。

あのですね。つわりってだいたい2ヶ月あたりからはじまるんです。でも、外見的にはお腹も出ていないし、全然妊婦に見えないんですよね。でもでも!その時期は!!ほんとにツライんです!!!
だから、スリムなのに(お腹が出ていないのに)マタニティマークをつけている人を見たら、ぜひ席をゆずってあげてほしい。優先席じゃなくても。あ、お腹出ててもゆずってほしいけど。

ちなみにマタニティマークなんですけど、駅でくださいって言えばもらえます。母子手帳など見せずとも、あっさりと。「それじゃあマタニティ詐欺できちゃうじゃん!」という旦那さんの反応もありましたが(=妊娠してなくても席を譲ってもらえる詐欺ができるじゃん!って事?)、あまりにも簡単で拍子抜け。最初はつけることに抵抗がありますが、次第にありがたみがわかってきます。


と、ここまで長々と書いてみましたが、面白いのかなこれ?と常に不安をもってキーを叩いております。
先日旦那さんに「時間が経つと色々忘れちゃうでしょ。だから忘れないようにブログに書いておくことにしたんだ」と話したのですが、「ふ〜ん。でも、忘れることのなにがいけないの?」という、禅問答のような返しをいただきました。天才かよ。

いや、うん。いけなくないけどね?全然。